金木犀かおる風

陽が沈むのも早くなり、季節は移ろい、ほんのりとかおる爽やかな風に、秋を感じるこの頃です。夏から秋へ、人間界がとんでもないことをしでかしていても、自然界は宇宙の法則に従って確実に季節を変えて行きますね。残念ながら人間界には自然界のような清流の如き法則はないのでしょうか。相変わらず経済成長だの、GDPだの、消費意欲を駆り立てる話ばかりでもうウンザリです。成長神話に洗脳されてどうかしてませんかね、ホントに。日本に限って言えば十分豊かになっていると思いますが、異口同音に低成長だのボヤいています。必要なのは何かをぶち壊して経済成長するのではなく、安心感じゃないでしょうか。将来が不安、老後が不安…だから貯蓄に走る。高齢化が進む中で高齢者が望むことは経済成長でもGDPでもない。贅沢はいらないから、ご飯が食べれて、排泄もできて、時々ばかっぱなしができればいい。貪欲な資本主義は人類を破滅に導くことに気付いて、新たな価値観の転換を意識し宇宙の法則に身を委ねてみましょう。

先祖返り

高齢者で最期まで自宅で過ごしたい人は、大月市の第8期介護保険事業計画によると約8割(介護施設等に入所したい人が約2割で逆算)というアンケート結果です。ただ、現実には介護施設や病院で最期を迎える方が8割です。既存の介護サービスだけでは在宅を支えるだけの能力はないのだと思いますが、地域の意識もネガティブな醸成がそこかしこに育まれている現実が垣間見れます。例えば、こんなことがありました、ある高齢女性が独居で寝たきりで、それでも「家を守る」そんな気丈な方で、その気持ちを尊重し私どもは最期まで在宅を支えていましたが、第三者からは、「高齢者を一人で自宅に置いておくなんて信じられない、さっさと施設に入所させなさい」と。これがこの地域の感覚なのでしょうか。それが、先のデータにも明らかにギャップとして表れています。本人は最期まで在宅を願っていても、「世間」の価値観は他人事なのです。これから時代が変遷して家よりも施設や病院が本人の大きな選択肢になるかも知れませんが、現在のアンケート結果ではそれを望んでいません。むしろ昭和の時代に先祖返りする方向です。子供のころ自宅で亡くなる、ばあちゃんやじいちゃんを見てきた世代の人たちは、年を取ること、人はボケる事、そして死んで行くことがどんなことか、何となく分かっていました。核家族化が進み、年を取ることも、認知症も、死ぬことも別世界のことのように見えてしまう今の子供たち。人生最期を大量生産のように扱われて葬られてしまう大切なその人の人生。なんだかおかしくないですか? 自宅で最期までを望むならそれが可能な世の中にする努力をすればいい。果たして第8期介護計画はそうなっているのだろうか。

稲盛和夫さんを偲ぶ

「経営には哲学が必要だ」まだ、経営者として駆け出しのころ、何かの書籍で稲盛さんの言葉に触れ、衝撃的にな感銘を受けたことを昨日のように思い出します。この言葉に出会わなかったら、今頃はなんの哲学も理念も持たない、ただ利益を追うだけのつまらない経営者もどきに甘んじていたことでしょう。稲盛さんが主宰していた盛和塾に参加する機会を永遠に失われてしまったことは、とても残念です。いつかはお会いしたいと思っていた方のお一人ですですから。もうお会いすることは叶いませんが、稲盛流経営哲学は自分の血肉にする姿勢で学び続けます。「動機善なりや、私心なかりしか」……ご冥福をお祈りいたします。

冷凍食品はマズイ?

一昔前の冷凍食品は確かに美味しくなかったですね。でも、今の冷凍食品は本当に美味しいです。食品メーカーも考えますよね、コロナ禍で在宅勤務が増えれば外食の機会は減って「内食」へ向かうのが自然。なので、どの食品メーカーも競って冷凍食品開発にしのぎを削っています。その結果、冷凍食品の品質は格段に上がり美味しくなりましたね。実は当施設でも冷凍食品は開設当初から提供しております。試食を重ねて現在の事業者に決定しましたが、そもそも、スタッフを調理係にして調理作業をしてもらうつもりは初めからありませんでした。それは、以前施設内で調理している施設を見学した時に調理担当者ごとに味がバラバラで、衛生状態も気になっていたからです。冷凍食品メーカーも高齢者に特化したところが多くあり、管理栄養士監修は当たり前で栄養バランス、塩分、味付け、柔らか食など…これを自分で作るのは無理ですし時間のムダですね。世の中は本当に便利になりました。冷凍食品がいまいちだった時代を知っている方はその偏見を捨てて是非、冷凍食品を試してみてください、きっと隔世の感を覚えると思います。