先祖返り

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高齢者で最期まで自宅で過ごしたい人は、大月市の第8期介護保険事業計画によると約8割(介護施設等に入所したい人が約2割で逆算)というアンケート結果です。ただ、現実には介護施設や病院で最期を迎える方が8割です。既存の介護サービスだけでは在宅を支えるだけの能力はないのだと思いますが、地域の意識もネガティブな醸成がそこかしこに育まれている現実が垣間見れます。例えば、こんなことがありました、ある高齢女性が独居で寝たきりで、それでも「家を守る」そんな気丈な方で、その気持ちを尊重し私どもは最期まで在宅を支えていましたが、第三者からは、「高齢者を一人で自宅に置いておくなんて信じられない、さっさと施設に入所させなさい」と。これがこの地域の感覚なのでしょうか。それが、先のデータにも明らかにギャップとして表れています。本人は最期まで在宅を願っていても、「世間」の価値観は他人事なのです。これから時代が変遷して家よりも施設や病院が本人の大きな選択肢になるかも知れませんが、現在のアンケート結果ではそれを望んでいません。むしろ昭和の時代に先祖返りする方向です。子供のころ自宅で亡くなる、ばあちゃんやじいちゃんを見てきた世代の人たちは、年を取ること、人はボケる事、そして死んで行くことがどんなことか、何となく分かっていました。核家族化が進み、年を取ることも、認知症も、死ぬことも別世界のことのように見えてしまう今の子供たち。人生最期を大量生産のように扱われて葬られてしまう大切なその人の人生。なんだかおかしくないですか? 自宅で最期までを望むならそれが可能な世の中にする努力をすればいい。果たして第8期介護計画はそうなっているのだろうか。

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