
約1年前、風評の影響により、数名の利用者さんが残念ながら当施設を離れることになりました。
その後の経過を知る中で、私にとって非常に重い事実がありました。
施設を去られた元利用者のうち、およそ7割の方が亡くなられているのです。しかも、その多くが半年以内でした。
医療・福祉の分野ではよく知られていますが、高齢者が長く慣れ親しんだ生活環境から離れ、新しい環境へ移ることによって心身に大きな負担が生じることがあります。これは「リロケーションダメージ(環境移動によるダメージ)」と呼ばれています。
もちろん、すべてを単純に結びつけて考えることはできません。しかし、当施設に残られた利用者さんは、現在のところ誰一人亡くなっていないという事実もあります。
慣れた環境にとどまった方々は皆さんご存命である一方、環境を移られた元利用者の多くが短期間のうちに亡くなられた。この差を前にして、私たちは何を考えるべきなのでしょうか。
医療・福祉の専門家の間では、環境の変化が高齢者に大きな影響を及ぼすことは以前から指摘されています。私自身もその可能性は危惧していましたが、結果として7割という数字を見ることになり、正直なところ想像以上でした。
亡くなられた方々は、当時とてもお元気で、すぐに命に関わるとは思えないほどの状態でした。それだけに、もしあの時状況が違っていたらと、悔しい思いが残ります。
近年、地域コミュニティの希薄化が指摘されて久しくなりました。しかし、高齢者や障がいのある方にとっての「居場所」は、これまで以上に丁寧に考えられるべき大切なテーマだと感じています。
それは決して他人事ではありません。
自分や家族の将来にも関わる問題です。
一人ひとりが少しだけ「自分ごと」として考えることができれば、この地域も、もっと安心して暮らせる場所になっていくのではないでしょうか。
今回の出来事が、私たちに何かを考えるきっかけを与えてくれることを願っています。