皆さんはじめまして、ご紹介にあずかりました関戸です。本日は開所式にお集まりいただきまして誠にありがとうございます。
こうして無事、開所式を迎えることができたのも、メットライフ財団さん、日本財団さんのご支援があったからこそであり心より感謝申し上げます。
私は隣にある小規模多機能型居宅介護事業所を運営して来年の3月でちょうど5年の節目を迎えます。その間、この地域にはどんな課題やニーズがあるのか実践を通して見えてくるものがありました。それは、宿泊を含めた入所ニーズと医療系サービスの不足でした。これらの課題やニーズにどう対処するのか、先ずは小多機と相性のいいと思っていた入所施設の併設を考えました。残念ながらこの地域には人里離れた山奥の施設に入るか、それとも慣れ親しんだ故郷から遠く離れたところに入るか、そのくらいの選択肢しかないのが現状です。地元で最期までを望む人生の最終章を迎えた人たちの行く末がまるで集団最終処分場……。選択の余地がない、自分も行きたいと思えない、人生最期がこれか……。そんな思いで始まったのがこのさっちゃんちです。集団ケアからの脱却を目指して、ここでは看取りも行い、終の棲家としても利用できます。これから設置の予定でまだお見せすることができなくて残念ですが、ウッドデッキを設置して昔あった「縁側文化」を採り入れます。地域の人たちが気軽に利用者の様子を伺える仕組みです。わざわざ玄関から入るのではなく、コミュニケーションのハードルを下げる意味で「縁側」を作りそこで茶飲み話で地域とのつながりを育む。子供達には年老いて行く姿を見てもらいたい、死んで行く様子も隠さずオープンにして、核家族化で人の死やボケて行く様子も知らずにいる子供たちに年を取ることの現実をしっかり見てもらいたい。そこで何かを子供なりに感じて「おばあちゃん、おじいちゃん、元気?」とそんな言葉が出てくるかも知れない。
このさっちゃんちはあくまでも、在宅システムの一環です。ここがゴールではありません。在宅を願う人のシステムの1つであり、目指すは「最期まで在宅」です。これから私たちNPOが向かう次のステップは訪問診療の充実です。在宅サービスのラスト1マイルがここです。ここが欠けてると在宅のハードルは一気に上がってしまうのです。ですので、ここを充実させるため数年後には訪問診療を積極的に行うクリニック開設に向けて準備を行っております。
最後にメットライフ生命様からのご厚意でボランティア活動を行っていただるというお話があり、誠にありがとうございます。私たちが望むことは、目の前にいる高齢者は将来の自分たちの姿であること、決して他人事ではないこと、このマインドを持って頂ければと願っております。そのマインドさえあれば十分です。年を取ってよぼよぼになること、しわくちゃになること、ボケボケになること、どんな立派な肩書があってもなくても平等に誰もが行く道です。その真実を忘れないでください。もう一度言います、誰もが確実に行く道、年を取ること、病気なること、そして、死んで行くこと。時間は容赦なく過ぎ去る、そして、すべてを変えて行く。以上です、ありがとうございました。