私の親戚で一浪の末、この春、医学部に進学した者がおります。その父親の一言で医学部を目指したようです。現役の時は受験指導の先生に「何年浪人しても医学部はムリ」と宣言されたそうです。ただ、彼の父親は息子の素質を見抜いていたので、指導教員の話は真に受けていませんでした。ある時、父親はその息子に尋ねました「将来どうするんだ?」。息子「夢も希望もない」。父親「じゃあ、医学部目指してみな、人の命を助ける仕事は最高だぞ」・・父親がそう言えたのは訳があります。それは高校受験の時に遡ります。息子は志望高校に推薦で入れるのにわざわざ一般受験を選んだのです。そのことを父親は印象深く思っていたのです。「この子はちょっと違うぞ」と。人生を左右する場面で楽な方よりも大変な方を選択しなさいという鉄則がある。父親は楽な方を選択しなかった息子に大きな可能性を感じた瞬間でした。そのことが先の父親の言葉につながった訳です。きっとこの「楽な方を選択しなかった」息子の姿勢がなかったら父親から息子への運命を決定づけるようなアドバイスは決して発せられなかっただろうし息子の医学部進学の道はなかったでしょう。人を見抜く視点と的確なアドバイス、これが上手くかみ合った時に運命が動き出すのでしょうか。