知る人ぞ知る福祉業界のレジェンド、F氏の投稿をシェアさせていただきます。
私自身が体験した厳しい現実として、メディアで一度取り上げられたことで、その事業所や担当者が行っている福祉活動全体が一度に全て否定され、すべてを失ったという経験があります。
このような体験をして、私が強く感じるのは、福祉業界において本来目指すべき「ソーシャルインクルージョン(社会的包摂)」という理念が業界全体で薄れているということです。
社会的包摂は、多様性を尊重し、全ての人々が共生する社会を作ることを目指していますが、現在の福祉業界では、過去の一度の失敗やミスをもって、その人やその団体を排除する風潮が非常に強まっています。
福祉業界の本来の使命は、誰でも受け入れ、共に支え合い、成長していくことです。
しかし、近年ではその理念が薄れ、しばしば「失敗」を許さない業界になっているように思います。
確かに介護保険法を完璧に守ることは重要です。しかし、福祉業界において全てを100%完璧に守れている事業所が一体どれくらいあるでしょうか?実地指導で1箇所も指導されない事業所は本当にあるのでしょうか?
法律を守ることは当然ですが、人間が行う仕事には必ずミスが生じることがあり、過度にそのミスを非難し、排除することは逆に福祉の本質を失わせることになります。
一度のミスが排除の理由とされる限り、本当の「包摂」は実現できません。
むしろ、ミスをした人々や事業所が外部から排除されることで、福祉を必要とする人々が必要な支援を受けられなくなるリスクも生まれます。
この状況が続けば、福祉業界は自己防衛的で閉鎖的な社会になり、助け合いの精神は消え失せてしまいます。
さらに、業界内で叩き合っても何も改善されないという現実もあります。
不健全な競争や対立を煽っても、根本的な問題は解決しません。
むしろ、内部での争いは、福祉の質を低下させ、社会的包摂から遠ざかる結果を招いてしまいます。
そこで、第三者評価の義務化も検討してはどうかと思います。
他にも多くの方法がありますが、第三者評価の義務化はオプションの一つとして重要な手段ではないかと思います。
第三者評価の義務化によって、各事業所の運営状況を透明化し、適切な評価を受けた事業所にはその結果に基づいた報酬が与えられる仕組みが整うことで、業界全体の質が向上することが期待できるのではないかと。
制度や仕組みで合理的に業界全体を改善していく方向性に進むべきだと切に願っています。
制度化された評価システムと報酬単価の設定は、業界にとって公平で透明な基準を提供し、個々の事業所の努力を反映させることができます。
これによって、排除や攻撃ではなく、共に学び、改善し合うという文化が根付いていくことが期待できます。
福祉業界の使命は、弱い立場にある人々を支え、共に生きていける社会を作ることです。
排除や攻撃ではなく、寛容と理解を基に、困難な状況を乗り越える力を育むことこそが、福祉の根本的なあり方だと思います。
私たちが目指すべき福祉の社会とは、互いに支え合い、共に成長することができる包摂的な社会です。
そのためにも、業界内での叩き合いや排除の風潮を改め、制度や仕組みを整えて、全体を改善する方向へ進んでいくべきだと強く思います。(F氏)
ミスと不正は混同しないように気をつける必要があります。医療介護福祉の事業は、その収入の多くは公的財源からです。公の資金を不正に受領することは重大な犯罪です。特に不正と意図してそれを行う事業者に対しては厳しい対処、そして業界も自浄作用を発揮することが必要だと考えます。(関戸)